2024-06-15

赤いワイン。

こんばんは、久しぶり。元気にやってる？

ああ、そうなんだ。元気にやってるんだ。それは何より。

わたしの方は、相も変わらず、取り立てて刺激のない、何の変哲もない日々を生きてる。
なんだかわからない、腑に落ちないような違和感を感じながらも、自分をだましだまし、元気にやってるよ。

自分の中の違和感を感じないようにして。

そうそう、近頃の世の中ではさ、いろんなアレやコレやがうごめいているみたいだし、
アレやコレのせいで、みんなが右往左往しているらしいし、アレのせいで世の中はザワザワしてるらしいよね。

うんうん。やっぱりそう？あなたの周りも同じだよね。

でもね、そんな世の中なのに、相変わらず、わたしの日常には、特に大きな変化はないんだ。
そんな些細って言ったら、良くないのかもしれないけれど、そんな世の中のアレやコレやは、わたしの中で小さい事なの。

わたしがわたしであれる事、わたしがわたしに納得しながら、
わたしがわたしらしく生きられる事の方がわたしの中では大きいから。

あっ！ごめん。話しすぎちゃったね。
ごめんごめん。そっちはどうなの？

うん、うん。生きるって大変だよね。わかる、わかるよ。わかりみ。

考える事をやめて、諦めて生きた方が楽なんじゃないかな？とさえ思う瞬間は多いよね。
歳を重ねるたびに、年々、そういう瞬間が多くなって来ている気すらする。しない？

わたしがおかしいのかな？

ねぇ？やっぱりそうだよね。良かった。わたしだけじゃないんだ。
歳を重ねれば重ねるほど、生きやすくなると思っていたのにね。

でも、どんどん、どんどんと、みんなの？一般的な？当たり前とされる、
普通とされる価値観がわたしたちに押し寄せて来て、わたしたちを苦しめる。

息苦しいじゃなくて、生き苦しくない？

うまい？ごめんごめん。フザケてないよ。

うん、全然フザケてない。やっぱり、そう思う？

マジョリティー、多数派って強いもんね、いつの時代もマイノリティー、少数派の価値観は行き場を失うもん。

ごめん、またうまく言ってしまうかも。そういうところ、あなたはいつも面倒くさいって言うんだろうけど。

わたしたちは、行き場じゃなく、生き場を失う。

わたしたちが間違っているのかな？って思わない？

そうだよね、思わざるを得なくなるよね。

あれ？正解はどっちなのかな？って。もう、自分すらも疑ってしまう。全員の正解なんてないのにね。
生きていると多くの場面で、善か悪か、正解か不正解かの二択を強いられるもんね。

あなたはどっち側？ってね。

そうそう、だからさ、わたし、そういう環境？そういう価値観？
そういうのから、開放されたくて、そういうのを置き去りにしたくて、思い切って、引っ越したの。

言ってなかったよね。

自分の人生の正解くらいは自分で決めたいなと思って。

そうしたらさ、なんだか、わたしらしく生きられそうな気がしてる。
前より、少し胸を張って生きていけそうな気がしてるの。

うんうん、ごめん。わたしばかり話しているよね。いつも、一方通行でごめん。

そうそう、さっき言ったけど、少し前に新しい家に引っ越して、最近、新しいソファを注文したの。

そんな時にあなたの顔が思い浮かんだんだ。

本当ならば、今頃、わたしのソファにはあなたがあなたがあなたが居てほしいって。

久しぶりに、わたしのところに遊びに来ない？

ううん、うそうそ、ごめん。本当の事を言うね。

あのね、もし、あなたさえよければ・・・そのまま、帰らなくてもいいよ。

本当は、この部屋を初めて見た時から、思ってた。

きっと、あなたもこの部屋好きだろうなって。

この部屋で、あなたとソファにもたれて、お気に入りの音楽に身を委ねながら、赤いワインをふたりで飲みたいの。

うん、大丈夫、全然、返事は急がないよ。大丈夫、あなたのタイミングでいい。

一緒に暮らすとしたら、一方通行は良くないもん。

いつも言われて来たから、もうわかってきた。

あなたのタイミングでいいから。

わたしの面倒をみてくれる気になってくれたとしたら、わたしの部屋のチャイムを押して。

うん、待ってる。

うん、じゃあ、またね。