2024-02-10

白いワイン。

こんばんは、久しぶり。元気にやってる？

ああ、そうなんだ。元気にやってるんだ。それは何よりだな。

僕の方は、相も変わらず、取り立てて刺激のない、何の変哲もない日々を生きているよ。
なんだかわからない、腑に落ちないような違和感を感じながらも、自分をだましだまし、元気にやってるよ。

自分の中の違和感を感じないようにして。

そうそう、近頃の世の中ではさ、いろんなアレやコレやがうごめいているみたいだし、
アレやコレのせいで、みんなが右往左往しているらしいし、アレのせいで世の中はザワザワしてるらしいよね。

うんうん。やっぱりそう？きみの周りも同じだよね。

でもね、そんな世の中なのに、相変わらず、僕の日常には、特に大きな変化はないんだ。
そんな些細って言ったら、良くないのかもしれないけれど、そんな世の中のアレやコレやは、僕の中で小さい事なんだ。

僕が僕であれる事、僕が僕に納得しながら、僕が僕らしく生きられる事の方が僕の中では大きいから。

あっ！ごめん。話しすぎちゃったね。
ごめんごめん。そっちはどう？

うん、うん。生きるって大変だよね。わかる、わかるよ、わかる。

思考停止してしまって、生きた方が楽なんじゃないかな？とさえ思う瞬間は多いよね。
歳を重ねるたびに、年々、そういう瞬間が多くなって来ている気すらする。しない？

ねぇ？歳を重ねれば重ねるほど、生きやすくなると思っていたのにね。

でも、どんどん、どんどんと、みんなの？一般的な？当たり前とされる、
普通とされる価値観が僕たちに押し寄せて来て、僕らを苦しめる。

息苦しいじゃなくて、生き苦しくない？

うまい？ごめんごめん。フザケてないよ。やっぱり、そう思う？

マジョリティー、多数派って強いからね、いつの時代もマイノリティー、少数派の価値観は行き場を失う。

ごめん、またうまく言ってしまうかもしれない。

そういうところ、きみは面倒くさいって言うんだろうけど。

僕らは、行き場じゃなく、もはや、生き場を失う。

僕らが間違っているのかな？って思わない？

そうだよね、思わざるを得なくなるよね。

あれ？正解はどっちなのかな？って。全員の正解なんてないのにね。
生きていると多くの場面で、善か悪か、正解か不正解かの二択を強いられるもんな。

おまえはどっち側だ？ってね。

そうそう、だからさ、僕は、そういう環境？そういう価値観？
そういうのから、開放されたくて、そういうのを置き去りにしたくて、思い切って、引っ越したんだよ。

ああ、言ってなかったよね。

自分の人生の正解くらいは自分で決めたいと思ってさ。

そうしたらさ、なんだか、僕らしく生きられそうな気がしてる。
前より、少し胸を張って生きていけそうな気がしてるんだ。

うんうん、ごめん。僕ばかり話しているよね。いつも、一方通行でごめん。

そうそう、さっき言ったけど、少し前に新しい家に引っ越してさ、最近、新しいソファを注文したんだよ。

そんな時にきみの顔が思い浮かんだんだ。

本当ならば、今頃、僕のソファにはあなたがあなたがあなたが居てほしいって。

久しぶりに、僕のところに遊びに来ないか？

ううん、うそうそ、ごめん。照れずに本音を言うよ。

僕と一緒に暮らしてくれないかな？

僕は、この部屋で、あなたとソファにもたれて、お気に入りの音楽に身を委ねながら、白いワインをふたりで飲みたいんだ。

ただ、そんな毎日がいい。何気なくていい。刺激なんてなくていい。

ただ、あなたがあなたがあなたが隣に居てくれたら、それ以上に望む事は何一つない。

うん、返事は急がないよ。大丈夫、きみのタイミングでいい。

一緒に暮らすとしたら、一方通行は良くないもんな。

大丈夫、きみのタイミングを待ってるから。

いつでもいい。

きみの心の準備ができたら、僕の部屋のチャイムを押してよ。

うん、待ってるから。

うん、じゃあ、また。