2022-09-04

ふたりで暮らせるワンルーム。

君との出会いはいつだったろうね。
この秋、僕たちは一緒に暮らすコトを決めた。

君と暮らす部屋の間取りの優先順位一位は、いつも君が見えるかどうか、それに尽きる。
僕と君の間が壁やなんだで、仕切られていないコト。

二人で暮らすのに、一緒に部屋にいる時くらい、顔が見られなきゃ、意味ないだろ？
なんだよ？一人の時間って？
家で過ごす時に、そんなに一人の時間が欲しかったら、初めっから一緒に住むとか言うなよ。
そんな時間、わざわざ作らなくても、自然と生まれるもんだよ。
だろ？一緒にいたくても、いられない時間だってあるんだから。

君が二人のためのご飯を作ってくれているとき。
君が僕にしか見せない油断した、かわいい寝顔で、すやすやと眠っているとき。
君がたいして面白くもない、テレビの歌番組を夢中で観ているとき。
君が難しい顔をしながら、ひとりで携帯電話のゲームに熱中しているとき。
君が家を出る前に、鏡の前で一生懸命、化粧をしているとき。

そんな、くだらない、何の意味もないかもしれない、
何気ない、君のすべての瞬間を、君のすべての表情を僕は近くで見ていたい。

もし、視線に気付いてもさ、ムリして声なんて、かけてくれなくて大丈夫だから。

それとね、安心して。
ずっと見ていたいって言っても、もちろん、お風呂とトイレは見えない方がいいよね。
それくらいわかるよ。

生きているとさ、いい事も悪い事も起こるよね。
そりゃ、いい事ばっかりじゃない。

君はそのすべてを僕に伝えてくれる。今日、起きたことのすべてを。

バカみたいに笑って、うれしそうに話す、友達としたバカみたいなバカ話。
足の下をミニカーが走れそうなくらい浮かれて話す、うまくいった話。
この世の終わりが来たかのように悲しそうに話す、悲しい話。
金剛力士像のような表情で怒りをぶちまける、ムカついた話。
いかに、僕が君に配慮がないとかいう類の苦情にも似た話。
それに、それこそ、ほんとにどうでもいい、どうでもいい話。

そのどれもが、たいした事じゃないのに、ああだこうだと君はひとり騒ぎ立てる。
そして、そのひとつひとつを全力で僕に伝えてくれる。

わかった、わかったから、全部、聞くからさ。
もうちょっと、こっちに来いよ。

僕は君がいてくれたら、それでいいんだ。
他は、たいした問題じゃない。
僕ら以外の話はたいした問題じゃない。

僕は、いつも、君の近くにいて、君を見ていたい。
ううん、君が、いつも僕の近くにいてくれて、僕から見えるところにいて欲しい。

僕はそれでいい。
僕はそれがいい。

今日も一日の終わりに、君の喜びも悲しみも痛みも怒りも苦情も
全部、僕が受け止めるから、全部、吐き出して、すっきりしたら、一緒に寝ようね。

もし、明日、朝日の眩しさで、目が覚めてしまっても、
お昼まで、ふたりベッドでダラダラして、コーヒーを飲んだら、一緒にラグを買いに行こう。