2017-09-04

亜細亜西院モータープール。

あぁ、やっちまったよ、迷い込んじゃった。
こんな見知らぬアジアの街でやっちまった。
さっきまであったはずのパスポートはどこいった？

こんな時に限って、たばこも切らしてるよ。
こんなに歩いているのに、誰もいないな？何かがオカシイ。
ここは、なんて街だったかな？サイイン？
俺は誰だ？さっきまで、どこに行こうとしていた？

断じて、言わせてもらおう。
僕はおかしくなんてなってない。

なんだろうね？

屋根付きモータープールの奥にあるが故の薄暗い感じ？
生活と仕事が共存する雑多な感じ？
昔から、そこにありそうな、でも、なかったかのような時空の歪みにある感じ？
ここから何かが生まれそうな、生み出されそうな現場感？
得体の知れぬアバンギャルド感？

でもさ、実際にある、どこかを想像して、どこかを真似しようとして、
こういう場を生み出そうとしている人は、絶対、こういうの作れないだろうな。

絶対的な現場感には勝てない。
圧倒的な、その物自体には勝てないよ。

ここには誰かの目を引こうとして、作られた物はないからね。
設備すらも、ほぼ何もない。

でもさ、悔しいけど、
きっと、こういうところから、新しい何かは生まれるんだろうね。

誰かが作った、誰かに作られた場を嫌うあなた。
そんなもんには、見向きもしないあなた。
誰かに作られた価値はいらない。自分の価値は自分で作るからって言うあなた。

あなただよ。

わかってんだろ？

あなただけの、あなたにしか作れない、
不純物ひとつない透き通るような宝物を僕らに見せておくれよ。