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てぃだマンションリノベーションプロジェクト#3

初め、ターゲットから、コンセプト、リノベプランを考えた時、
不思議と、迷いは一切なかった。

JR嵯峨嵐山駅まで徒歩3分、そして、京都駅まで17分くらいで行けて、
大阪駅まで、時間によっては、50分くらいで行ける利便性。

京都嵯峨芸術大学が近く、芸術の香りがほのかにする土地の事。

嵐山や渡月橋が近く、天龍寺や竹林の小径、少し足を伸ばせば嵯峨野なんかもある、
京都が誇る観光名所が数多く存在するエリアの空気感。周囲の環境。

そして、#1に書いた、建物の佇まいの事。

そこから、導き出されたターゲットイメージ。

モノづくりをしている人の居住スペース兼アトリエ。
デザイン系やクリエイティブ系の仕事をしている感度の高い人のSOHO。
ヴィンテージな家具や小物と暮らしたい人の住まい。

そして、京都に移住してくる感度の高い人の最初の拠点。少し、まちから離れているがゆえ、京都という、まちを俯瞰で見られるという点でね。

リノベコンセプトは、言葉にしたら、安いけど、紹介します。

ヴィンテージ家具やヴィンテージ雑貨の似合う、真っ白なキャンパスのような、
アトリエ、オフィスや住居の枠を超えた自由な使い方のできるフレキシブルでシンプルな箱。

書いたら、ベタで安っぽくって、ありふれてるかもしれないけど、賃貸業界には少ないんだ。

実現したかったのは、賃貸物件では、見る事のできなかった圧倒的な美しさ。
美しさから逃げずに、真正面から収支と向き合って、やってるトコは多くないと思う。

賃貸だからって、マスに媚びない。
収支を言い訳に、妥協しない。

表層だけを取り繕うような、つくられたものにしない。

そう思って、始めたプロジェクトなのにね、やっぱり、先日、頭をよぎった。

賃貸だから、多くの人に気に入られなきゃいけないんじゃないか?とか、
リスクがないように、もう少し、普通に寄せたほうがいいんじゃないか?とか、
他にないモノ作ってるはずなのに、他にないけど大丈夫か?とか、
今まで、新築やリノベで、賃貸物件をつくる人たちが思ってきたであろう事に
僕も思いっきり、直面した。

不安になって、プランの変更すらも頭をよぎった。
一番、ダメな事だよ。

オーナーさんを家主さんの事を思えば思うほど、リスクはヘッジしたいって思ってた。
でもね、それは、結局、自分の逃げじゃないのかって思った。

オーナーさんが信じてくれている僕を、僕は信じないのかって。

悩んで悩んで、乗り越えた今、僕は思ってる。

迷いのない気持ちから生み出される物にしか纏えない美しさがあるんじゃないかな。
いろんな迷いや不安に追いつかれる事なく、真っ直ぐ信じて生み出された物にこそ、
本当の美しさが宿るんじゃないかな。

コンセプトがどうとか、理由なんて関係ない美しさ。

なんかね、今回、そういう領域が垣間見えた気がした。

まぁ、堅い事は抜きにして、
よくある賃貸サイトなんかでは出てこない空間が見られるはずだからさ、楽しみにしてて。

きっと、そこに住みたくなる。
きっと、そこで好きな家具と暮らしたくなる。
きっと、そこで仕事もしたくなる。

賃貸だからってさ、狭い選択肢から選ばなくていいんだよ。
賃貸だからって、自分の暮らす場所、自分の働く場所を諦めないで。

僕は、今、そんな想いを伝えたい。

※写真は、2017年1月20日、解体中のものです。