HOME > BLOG > KAWABATA channel > Case Study > 南吹田まちリノベーションプロジェクト#8
2021-07-26
こんにちは、ここで会うのは久しぶりですね。
元気にしていましたか?
Case Studyのページを更新するのは、船場オフィスビルリノベーションプロジェクト#1以来だそうです。知ってくれていました?
実に、2019年12月13日以来の事。誠にご無沙汰しております。
さて、今回は、2019年1月以来の南吹田まちリノベーションプロジェクトの続報です。→南吹田まちリノベーションプロジェクト#7
正確には、第二期工事が終わった後の物件紹介文以来ですね。→南吹田琥珀街
ずっと、見えないところで、続いてました。
実は、こっそり、しっかり、南吹田琥珀街の第三期工事、始まっています。
今回のリノベーションは、木造2階建てのアパート「白ゆり荘」
また、続きを綴ろうと思って、書き始めようとしたら、時は遡り、2020年3月頃?に僕はこんな文章を書き残していました。
もし、よかったら、読んでみてください。
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今日は南吹田琥珀街の立ち会い契約の日だったんだな。
現時点でのリノベ済み長屋の最後の一軒。
第一期工事分の二区画と第二期工事分の五区画。
これで、南吹田琥珀街の全七区画に新たな街人が加わってくれた事になる。
ちなみに、立ち会い契約って、入居してくれる人とオーナーさん立ち会いの元、契約書の読みあわせをするんだけど、それは、前座。その後の雑談がメインイベント。
入居してくれる人とオーナーさんとで、これからの話をしてもらう。
ここで、何をしたいか?とか。
その時の入居してくれる人とオーナーさんとの話を聞いていて、なぜだかわからないけれど、泣きそうになったな。
あ~!お酒を飲んでたら、きっと、泣けたな。
しらふでも、20%くらい泣きそうだった。
現時点での最後の区画が決まったのがうれしいからってだけじゃないよ。最後の区画を借りてくれたやつがいいやつだからってだけじゃない。
最後の入居者は、僕とは、職業も年齢も性格も生き方も違うやつだけど、彼がオーナーさんに話している内容は僕が話しているのかと思うほどだった。
その時、やっと、ここまで来れたなって思った。
ここまで来れたというのは、ただ、募集した区画が全部、借りてもらえたとか、そんなコトを言ってるのではなくて、来て欲しい人と現実に入居してくれる人の誤差を、できる限り少なくして、すべての区画に入居してもらえたコト。
単なる借主であるはずの彼が、僕が話すような事を、彼自身の言葉でオーナーさんに話をしてくれた時に、その誤差のなさを実感させてもらったんだな。
ここまで来れた要因は、事前にオーナーさんに説明して、焦って、誰彼構わず、入居してもらうわけじゃなく、入居いただく方を選ばせてもらうという方法を取らせてもらった。
この点に、多大なるご理解をいただけた事が、ここまで来れた最大の要因だと思う。
通常、オーナーさんはリノベ完了後、「早く入れて」「早く決めて」となる。当たり前だ。オーナーさんも慈善事業じゃないから。
ただ、あのまちをリノベーションをさせていただく時点では、世間一般で言うところの、あのまちの価値はお世辞にも高いとは言えなかった。
世の中の規準や評価的にね。
もちろん、僕らはこのまちの価値や可能性に気付いていたし、宝だと言っていたけど、そのまちで、いきなり新しい何かをやったとして、その延長線上に何かが自然に生まれる状況は考えにくかった。
何かを生む状況を楽しみながら、一緒に作ってくれる人たちに集ってもらう必要があった。
単に建物をリノベーションしただけでは、まちは変わらないし、何も生まれない。
ただ、その行為、つまり、リノベーションプロジェクトを通じて、コンセプトに共鳴したり、賛同してくれる人は集まってもらえるじゃない?
そこに力を入れた。
そして、今、このリノベーションプロジェクトに関わらせてもらって、自ら入居させてもらっている僕の感覚が言ってる。
このまちは必ずもっと面白くなる。
もっともっと先が見たい。
だから、その立ち会い契約の時、オーナーさんに「やっと時代が追い付きますよ」って言った。
我ながら、よく言うよね。
でも、今後、時間の使い方、時間の過ごし方、何を選ぶか、暮らし方、生き方なんかが大きく変わるだろうしね。
その多くはないかもしれない人たちの価値観の変わった先に、このまちの価値観があるような気がしている。
いや、そう信じている。
いやね、自分で企画したからとか、自分が借りさせてもらっているからとかじゃなくよ。
実は、逆に、自分で企画させてもらって、自分で借りさせてもらって、今、自分がびっくりしてるのよ。
こういうコミュニティの可能性に。
こういうまちの在り方の可能性に。
正直、関わらせてもらう時点では、ここまでの姿は見えてなかった。
いや、だからこそ、良かったのかもしれない。
見えてないってわかっていたからこそ、すべてをデザインせずに、余白を残した。
余白の可能性を信じた。
ただ、このまちに入ってくれる人は慎重に選ばせてもらったよ。
まちにとって、建物もデザインも大事なんだけど、何より大事なのは、人なんだ。
当たり前だけど、すべての不動産や建築絡みのプロジェクトは、人中心であるべきだと思う。
このまちに集った、その選ばれし人たちが今、可能性を感じさせてくれている。
こういうまちのあり方の可能性を。
さぁ、南吹田琥珀街、ここからです。
リノベーションが完成して、募集をして、全部、決まったら、はい、オッケーじゃない。
人間でも生まれたら終わりじゃないじゃない?生まれてからの生き方が大事なんじゃないか?
まちも同じだ。まちは育み続けるモノ。
そういう事です。
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現在、第三期工事、白ゆり荘をリノベーション中です。完成は2021年9月中旬頃の予定です。
写真は、2020年12月、着工を待つ白ゆり荘。